背景と目的
・本研究会は24回目の開催となります。近年はオンラインでの配信も含め、ハイブリットでの開催を実施してまいりました。新型コロナウイルスの感染も一定の終息を迎え、改めて学術の場が失われたことを実感していることと思います。現在も感染予防には配慮を重ね、慎重な開催が求められる中、それでも学術環境は少しずつが得られるようになってきています。大切なことは、学術の活動拠点を忘れず、新たな形も模索しながら、その環境を提供することが重要であると考えています。今般、令和5(2023)年9月3日(日)に、第24回脳神経科学東京セミナー(主催:運動神経科学研究会 代表:小松泰喜)を「日本大学 三軒茶屋キャンパス1号館:〒154-8513 東京都世田谷区下馬3-34-1」において開催する運びとなりました。開催方法は対面開催を基本とし、一部講師の都合もあってオンライン配信となりますが、十分な感染症対策を実施し、対面での会場開催とさせていただく予定です。
・また、いわゆる神経リハビリテーションとして、神経科学を基盤としたこれまでのあゆみを振り返り、臨床医学における臨床知や実践知をもとに、脳・脊髄機能を中心に目まぐるしい知見を整理したうえで、多くの研究成果と臨床効果を話題にしてきています。中でも、障害のあるアスリートの脳はニューロリハビリテーション(以下、ニューロリハ)の手本であることから、パラリンピアンを中心に、スポーツ脳科学による脳の再構築についての解説の他、身体動作のダイナミクス(身体各部の時間的変化)など、運動学習の過程を計算論として理解し、運動制御や学習に関する知識と基盤となる研究の紹介を重ねて取り上げていきます。
・神経生理学等の基礎医学、リハ医学、脳神経外科学、神経内科学、精神医学等の臨床医学、工学、社会科学など、横断的な学際領域は留まるところを知らず、重要な知見が生まれ、幅広い学問領域による障害克服に向けた変革が必要とされています。反面、リハ専門職(リハ医、理学療法士、作業療法士など)にとって職能の確立は急務であり、「臨床知を感性で終わらない」、「培った治療技術をいかに科学の本質として捉えるか」という点では、今もその学問的背景が十分ではない事実があります。
・第24回東京セミナーでは、これまで以上に、リハ専門職の他、臨床応用が広まっているニューロモデュレーションを取り上げ、身体への制御や動作の対する影響や臨床的な新たな観点を省察でき、基礎理学・作業療法学の先進的研究活動の推進につながる臨床思考過程として、治療効果への影響を取り上げることとしました。リハビリテーション医学としてさらなる脳・脊髄の神経活動の計測技術の進歩が多くの可能性を持ち、議論し合う内容となっています。