背景と目的
・本研究会は 23 回目の開催となります。近年はオンラインでの配信も含め、ハイブリットでの開催を実施してまいりました。新型コロナウイルスの感染拡大で学術の場が失われたことは否めず、現在も感染予防の観点から慎重な開催が求められ、十分な学術環境が得られていません。また、学術の活動拠点を忘れず、新たな形も模索しながら、心地よいサードプレイスを提供することも重要であると考えています。今般、令和5(2022)年4月9日(日)に、第 23 回脳神経科学福岡セミナー(主催:運動神経科 学研究会 代表:小松泰喜)を「福大メディカルホール(福岡市):〒814-0133 福岡県福岡市城南区七隈 7-45-1」において開催する運びとなりました。これまで同様、開催方法は感染状況を鑑み、感染症予防の観点から対面での会場開催とオンラインのハイブリット開催を今回も検討しております。
・また、いわゆる神経リハビリテーションとして、神経科学を基盤としたこれまでのあゆみを振り返り、 臨床医学における臨床知や実践知をもとに、脊髄・脳機能を中心に目まぐるしい知見を整理し、話題にしてきています。特に、障害のあるアスリートの脳はニューロリハビリテーション(以下、リハ)の手本であることから、パラリンピアンを中心に、スポーツ脳科学による脳の再構築について、解説をしてきています。また、身体動作のダイナミクス(身体各部の時間的変化)など、運動学習の過程を計算論として理解を含め、運動制御や学習に関する知識と基盤となる研究の紹介も取り上げてきました。
・神経生理学等の基礎医学、リハ医学、脳神経外科学、神経内科学、精神医学等の臨床医学、工学、社会科学など、横断的な学際領域は留まるところを知らず、重要な知見が生まれ、幅広い学問領域による障害克服に向けた変革が必要とされています。反面、リハ専門職(リハ医、理学療法士、作業療法士など)にとって職能の確立は急務であり、「臨床知を感性で終わらない」、「培った治療技術をいかに科学の本質として捉えるか」という点では、今もその学問的背景が十分ではない事実があります。
・第 23 回福岡セミナーでは、これまでより、リハ専門職の他、神経科学に隣接するスポーツバイオメカニクスを取り上げ、制御や動作を新たな観点から省察し、基礎理学療法学の先進的研究活動として第一線で活躍する理学療法士による脳卒中に対する臨床思考過程が治療効果への影響を取り上げることとしました。脊髄・脳活動の計測技術の進歩が多くの可能性を持ち、議論し合う内容となっています。